「もう、大丈夫です。中へどうぞ」 看護師の声がかかると、私は直ぐさま慎矢さんの元へと向かった。 「………慎矢…さん…」 「………………」 「…っ……ヒクッ…ぅ……慎矢さん…ヒクッ…」 酸素マスクをつけて苦しそうに肩で息をしながら瞳を開き私を見つめる慎矢さん。 私はギュッと慎矢さんの手を握り締める。 「…………泣く……な……」 ずっと聞きたかった慎矢さんの声。微かにだけど、ちゃんと聞こえた。