「私、辞めるね。」



消えちゃえばいい。



逃げよう。



「唯、なに言って……!」



祥太郎くんが私の肩を掴んだ。



私はその祥太郎くんの手を自ら振り払った。



「自分勝手なのは、わかってます。だけど、もう……疲れた。」



嘘をついた。



私は自分にも、みんなにも。



「わかった。唯の好きにすればいい。」



いっくんが静かに言った。



「はい。ありがとうございます。」



私はお辞儀をして走り出した。



いや、逃げ出した。



ここから、



みんなから。




「唯っ!」と私の名を叫ぶ祥太郎くん。



これ以上、私の名前を呼ばないで。




貴方に呼ばれると、決心が揺らんでしまう。甘えてしまう。




だって、私は気づいてしまった。




貴方のことが……