「俺、本気だから」
直人くんが言うと、祥太郎くんはフッと笑って、いつものS顔になった。
「へぇ、知らなかったなぁ。……だけど、俺は応援できねぇなぁ」
「は?なんでだよ」
「なんでって……俺もお前と同じだから」
そう言って、祥太郎くんは直人くんから離れた。
なんのこと?
ちんぷんかんぷんなんですけど
わいろ?
「唯ちゃん、絶対優勝しような」
直人くんは優しい笑みを浮かべた。
「はいっ!」
向こう側のコートにいる祥太郎くんはなんだか不機嫌そう。
……だけど、さっきよりはヤル気が感じられる気がする。
ピーーーッ
試合開始の合図の笛がなる。
それと同時に周りの観客たちが騒ぎ出す。

