しばらくの間、そうしていると。 カラカラ…という軽やかな音と共に店の扉が開いた。 一瞬街路の金木犀の芳しい香が店内へと迷い込んできたが、しかしそれは漂う紅茶やコーヒーなどの香ばしい香りに直ぐにかき消されてしまう。 もう秋も深まる季節だ。 窓の外の色づく街路樹を眺めていた私は、そのせいで店の中へと入ってきた人物に一切の注意をはらっていなかった。 「相席よろしいでしょうか?」 唐突なその言葉に目の前の紳士を見上げ、…自分の目を疑った。