不器用な愛で、意地悪なその唇で。






「それに──っ!?」



顔を上げて、春の顔を見ようとしたとたんに、唇に何か柔らかいものに塞がれていて。

俺の唇を塞いでいるのが“春”だということを認識するのに数秒かかってしまって。



「……え?」



唇が離され俺が唖然としてそう言うと、キスをした張本人の顔はさっきよりも真っ赤に頬を染めていて。



「あ、あああ、あたしだっていけなかったんだもん…!不安にさせてたのはあたしだって同じだしっ…あたしがもっと積極的でいれば、千架くんを不安にすることなんて、なっかったのにっ…」



視線を泳がせて、耳まで真っ赤にしてそう言う春はとてつもなく、可愛くて。



「それでいいんだよ、春」



真っ赤になって一生懸命思いを伝えようとする春の頬を再び手のひらで包んで、俺の方を向かせる。



「どんなに口下手でもいいし、視線を合わせなくたっていい。それにそんな自分を責めなくたっていいから…


…ただ春の気持ちを言葉で伝えて?」



微笑んでそう言うと、春は切なげに表情をゆがませてやがてうつむき“…うん”とそう静かに言った。