「ねぇ、一緒に抜け出そ」
腕に絡ませていた指をいつの間にか俺の太股に移動させ、女が誘う。
立ち上がり、携帯をズボンのポケットに入れた。
女も立ち上がると増田に冷やかされたので、俺も軽口で返す。
「お、俺もっ」
情けない顔で立ち上がる中島だったが、無論、他のメンツが許す訳もない。
同じように携帯と財布をそれぞれポケットに仕舞ったまま、再び座席へ連れ戻される。
出る前に中島のポケットに手を突っ込んで、取り出した携帯を机に返した。
「中島、携帯ポケットに入れんの止めろ」
意味が分からないといった顔で見上げてきたが、無視して店を出る。
携帯電話をポケットに入れて持ち歩く男は、そうでない奴に比べ、最大三割も精子が減少する。
知らなかった。
何も知らなかった。
知ろうともしなかった。
不妊なんて、女だけの問題だと思っていた。
あの日までは。
腕に絡ませていた指をいつの間にか俺の太股に移動させ、女が誘う。
立ち上がり、携帯をズボンのポケットに入れた。
女も立ち上がると増田に冷やかされたので、俺も軽口で返す。
「お、俺もっ」
情けない顔で立ち上がる中島だったが、無論、他のメンツが許す訳もない。
同じように携帯と財布をそれぞれポケットに仕舞ったまま、再び座席へ連れ戻される。
出る前に中島のポケットに手を突っ込んで、取り出した携帯を机に返した。
「中島、携帯ポケットに入れんの止めろ」
意味が分からないといった顔で見上げてきたが、無視して店を出る。
携帯電話をポケットに入れて持ち歩く男は、そうでない奴に比べ、最大三割も精子が減少する。
知らなかった。
何も知らなかった。
知ろうともしなかった。
不妊なんて、女だけの問題だと思っていた。
あの日までは。

