頭まで布団を被っていると、階段を上がる二つの足音が聞こえる。
予想通りそれは俺の部屋の前で止まり、ノックされた。
気が重い。
「孝太、梨果ちゃんが来てくれたわよ」
母親の言葉に、心臓がぎゅううと縮こまる。
今一番会いたくない相手なのに、何で。
足音が一つ、階段を下りていき、少し待ってから扉が開かれる。
もう一つの足音が近付き、膝を抱え頭から布団を被っている俺の前で、止まる。
「梨果と別れた理由って、それ?」
もう学校中に広まっているだろう。
当然、梨果の耳にも入る。
呆れたような、怒っているような、いつもより少し低いトーンが、狭い布団の中に響いた。
次の瞬間。
ぐっと、それを引っ張られ、射し込む明かりに慌てて顔を隠す。
「何でちゃんと言ってくれないの、梨果がそんな事でこうちゃんを嫌うと思った?」
分かってるよ、そんな事は。
生まれた時から一緒に育ってきたんだから。
だから言えなかったんじゃないか。
「俺じゃ、梨果を幸せに、できない。
お前の夢を、叶えてやれない」
予想通りそれは俺の部屋の前で止まり、ノックされた。
気が重い。
「孝太、梨果ちゃんが来てくれたわよ」
母親の言葉に、心臓がぎゅううと縮こまる。
今一番会いたくない相手なのに、何で。
足音が一つ、階段を下りていき、少し待ってから扉が開かれる。
もう一つの足音が近付き、膝を抱え頭から布団を被っている俺の前で、止まる。
「梨果と別れた理由って、それ?」
もう学校中に広まっているだろう。
当然、梨果の耳にも入る。
呆れたような、怒っているような、いつもより少し低いトーンが、狭い布団の中に響いた。
次の瞬間。
ぐっと、それを引っ張られ、射し込む明かりに慌てて顔を隠す。
「何でちゃんと言ってくれないの、梨果がそんな事でこうちゃんを嫌うと思った?」
分かってるよ、そんな事は。
生まれた時から一緒に育ってきたんだから。
だから言えなかったんじゃないか。
「俺じゃ、梨果を幸せに、できない。
お前の夢を、叶えてやれない」

