この姫は、昼方、自分が謁見して、騎士の叙任を与えることになっていたはずの姫君ではないか。
しかし、先ほど急に行方が知れなくなったとて、家族がいま夢中になって捜している姫だ。
王のまなざしに、フリーラインは何の説明を返す素振りもなく国王を真っ向から見返すと、素っ気ない口調で言った。
「お約束通り、王太子殿下のご尊顔は拝謁した。わたしはこれにて失礼つかまつる」
「まあまあ公爵、今宵はめでたい席じゃ。もう少しゆっくりしていってはどうじゃ」
しかし国王の言葉を無視して、フリーラインはくるりときびすを返す。
と、ちょうどその時、お触れ係が王妃の到着を告げた。
すると扉から、侍女頭に手を引かれて、王妃アンヌ・ドートリッシュが入ってきた。
アンヌは王妃にふさわしい気高い笑みを湛えて、貴族たちの挨拶に応えながら歩いてきた。
御年三十七を数えたにしてはいつまでも若さを失わない顔も、今宵ははっとするほど青白く、疲れの跡が窺える。
おそらく国王の命で、無理を押して出席したのであろう。
王妃の後を、色違いの揃いの衣装に身を包んだ侍女たちが進んできた。
侍女たちは、アンヌが王太子を儲けた功績に対して贈られた勲章や、国中から届いた祝いの品々を、ビロウドのクッションの上に捧げ持って歩いている。
しかし、先ほど急に行方が知れなくなったとて、家族がいま夢中になって捜している姫だ。
王のまなざしに、フリーラインは何の説明を返す素振りもなく国王を真っ向から見返すと、素っ気ない口調で言った。
「お約束通り、王太子殿下のご尊顔は拝謁した。わたしはこれにて失礼つかまつる」
「まあまあ公爵、今宵はめでたい席じゃ。もう少しゆっくりしていってはどうじゃ」
しかし国王の言葉を無視して、フリーラインはくるりときびすを返す。
と、ちょうどその時、お触れ係が王妃の到着を告げた。
すると扉から、侍女頭に手を引かれて、王妃アンヌ・ドートリッシュが入ってきた。
アンヌは王妃にふさわしい気高い笑みを湛えて、貴族たちの挨拶に応えながら歩いてきた。
御年三十七を数えたにしてはいつまでも若さを失わない顔も、今宵ははっとするほど青白く、疲れの跡が窺える。
おそらく国王の命で、無理を押して出席したのであろう。
王妃の後を、色違いの揃いの衣装に身を包んだ侍女たちが進んできた。
侍女たちは、アンヌが王太子を儲けた功績に対して贈られた勲章や、国中から届いた祝いの品々を、ビロウドのクッションの上に捧げ持って歩いている。
