「なんだか気難しくて冷たい人のようだね」
「おとうさまも、あのお方だけは苦手だと洩らしておいでですわ。
おそろしく怜悧な方だそうで、本心では何を考えておいでなのか、まわりに少しも気取らせないのだそう」
ルーヴィエの言葉に、兄のルドリュは不安になって言った。
「そんな人と、どうしてエレオノールは一緒にいるのだろう。
父上、ぼくはあのおてんばを連れ戻してきます」
すると父は、「待て」と冷静な口調で息子を留めた。
「おまえは前に出てはいかん。ルーヴィエ、そなたが迎えに行ってきておくれ」
ルーヴィエは承知しましたと頷くと、すっとその場を去っていった。
国王は、広間の入り口に現れたランスロット公爵の姿を見ると、実に愛想のよい笑顔を
浮かべて立ち上がり、自ら玉座を下って出迎えた。
「これは公爵、今宵はよくおいでになられた」
だがフリーラインは軽く会釈を返しただけで、歩みすら停めず、さっさと国王の前を通り過ぎようとする。
エレオノールは君主たるものの気位の高さを思い、今にも怒りが落ちるのではないかと、畏れで顔が熱くなった。
だが国王は一向に気にする様子はなかった。
そのことがさらにエレオノールを驚かせた。
王は、公爵に話しかけても何も返ってこないと諦めたのか、エレオノールに目を移した。
「おお、これは輝くばかりに美しい姫君、わがフランスへようこそ。
公爵、そなたがご婦人を同伴されるとは思わなんだ。
姫君、公爵ともども、宮廷をあげて歓迎いたしますぞ」
エレオノールは、国王の足許に深々と腰を折って言った。
「お目にかかれて拝謁至極に存じます。エレオノール・ド・ロワイエと申します」
「そうか、エレオノールというお名か」
にこにこと言葉を継いでから、国王ははっと顔色を変えた。
「そなた、エレオノール・ド・ロワイエとな?」
エレオノールは頷いて、紫色の瞳で国王をじっと見つめた。
「エレオノール・ド・ロワイエか……」
声にならぬ声で国王は呟き、ロワイエ家の姫がどうして一緒にいるのかと問い質すような目を、フリーラインに向けた。
「おとうさまも、あのお方だけは苦手だと洩らしておいでですわ。
おそろしく怜悧な方だそうで、本心では何を考えておいでなのか、まわりに少しも気取らせないのだそう」
ルーヴィエの言葉に、兄のルドリュは不安になって言った。
「そんな人と、どうしてエレオノールは一緒にいるのだろう。
父上、ぼくはあのおてんばを連れ戻してきます」
すると父は、「待て」と冷静な口調で息子を留めた。
「おまえは前に出てはいかん。ルーヴィエ、そなたが迎えに行ってきておくれ」
ルーヴィエは承知しましたと頷くと、すっとその場を去っていった。
国王は、広間の入り口に現れたランスロット公爵の姿を見ると、実に愛想のよい笑顔を
浮かべて立ち上がり、自ら玉座を下って出迎えた。
「これは公爵、今宵はよくおいでになられた」
だがフリーラインは軽く会釈を返しただけで、歩みすら停めず、さっさと国王の前を通り過ぎようとする。
エレオノールは君主たるものの気位の高さを思い、今にも怒りが落ちるのではないかと、畏れで顔が熱くなった。
だが国王は一向に気にする様子はなかった。
そのことがさらにエレオノールを驚かせた。
王は、公爵に話しかけても何も返ってこないと諦めたのか、エレオノールに目を移した。
「おお、これは輝くばかりに美しい姫君、わがフランスへようこそ。
公爵、そなたがご婦人を同伴されるとは思わなんだ。
姫君、公爵ともども、宮廷をあげて歓迎いたしますぞ」
エレオノールは、国王の足許に深々と腰を折って言った。
「お目にかかれて拝謁至極に存じます。エレオノール・ド・ロワイエと申します」
「そうか、エレオノールというお名か」
にこにこと言葉を継いでから、国王ははっと顔色を変えた。
「そなた、エレオノール・ド・ロワイエとな?」
エレオノールは頷いて、紫色の瞳で国王をじっと見つめた。
「エレオノール・ド・ロワイエか……」
声にならぬ声で国王は呟き、ロワイエ家の姫がどうして一緒にいるのかと問い質すような目を、フリーラインに向けた。
