「お入りあれ」
取り次ぎの案内に対し、無機的な口調でフリーラインは答えた。召使いが開けた扉から、デュークが明快な足音とともに入ってきた。
「突然の来訪失礼つかまつる」
「貴殿の用向きはじゅうぶん承知している。この部屋の奥に、捜しておられる何もかもがあるだろう」
そう言うとフリーラインは、デュークの先に立って案内した。
奥の薄暗い小部屋の寝台の上には、ひとりの男が横たわっていた。
「将軍、貴殿の捜しておられるは、この男にはあるまいか」
言われてデュークは、寝台を覗き込んだ。
「この男、確かにわたしがロレーヌで雇い入れた傭兵のひとり」
男は、もはや息をしているかどうかも定かではないほどに衰弱しているようだった。
フリーラインが言った。
「その者の命も長くは持つまい。
…わたしが物音を聞きつけてあの場に駆けつけたとき、ことは一刻の猶予も許されぬ状況であった。
わたしは仕方なくひとりの男の息の根を止めた。
残るひとりもしとめたが、寸刻を争うときゆえ、急所を外すことはできなかった。
貴殿がこの者を尋問したいと思われるなら、急がれるがよかろう」
その言葉通り、男の顔にはすでに死相が表れている。
デュークは時間がないことを悟った。
「では公爵、失礼する」
彼は男の傍らに屈みこんだ。
「気付け薬は寝台の横。そのほか尋問に必要な道具は、机の上に用意してある。手間取るようなら使われたらよかろう」
フリーラインは彼の後ろ姿に言って、静かに部屋を出ていった。
取り次ぎの案内に対し、無機的な口調でフリーラインは答えた。召使いが開けた扉から、デュークが明快な足音とともに入ってきた。
「突然の来訪失礼つかまつる」
「貴殿の用向きはじゅうぶん承知している。この部屋の奥に、捜しておられる何もかもがあるだろう」
そう言うとフリーラインは、デュークの先に立って案内した。
奥の薄暗い小部屋の寝台の上には、ひとりの男が横たわっていた。
「将軍、貴殿の捜しておられるは、この男にはあるまいか」
言われてデュークは、寝台を覗き込んだ。
「この男、確かにわたしがロレーヌで雇い入れた傭兵のひとり」
男は、もはや息をしているかどうかも定かではないほどに衰弱しているようだった。
フリーラインが言った。
「その者の命も長くは持つまい。
…わたしが物音を聞きつけてあの場に駆けつけたとき、ことは一刻の猶予も許されぬ状況であった。
わたしは仕方なくひとりの男の息の根を止めた。
残るひとりもしとめたが、寸刻を争うときゆえ、急所を外すことはできなかった。
貴殿がこの者を尋問したいと思われるなら、急がれるがよかろう」
その言葉通り、男の顔にはすでに死相が表れている。
デュークは時間がないことを悟った。
「では公爵、失礼する」
彼は男の傍らに屈みこんだ。
「気付け薬は寝台の横。そのほか尋問に必要な道具は、机の上に用意してある。手間取るようなら使われたらよかろう」
フリーラインは彼の後ろ姿に言って、静かに部屋を出ていった。
