あたり一面が、紫色の光に満たされている。
光はオーロラのように柔らかに形を変えながら、遙か上方から降り注いでくる。
まわりには列柱のようなものが見える。
それは天を突くほどに巨大で、頂上はかすんで見えないほどだ。
ここはいったいどこだろう。まるで古い時代の神殿のような建物だ―――
エレオノールはその巨大な列柱と列柱の間を、どこへ行くともなく彷徨(さまよ)い歩いていた。
神殿の中に人の姿はなく深閑としていたが、寂しくも恐ろしくもなく、不思議と心の中は満ち足りている。
エレオノールは軽やかな足取りで、柱の間を駆け抜けた。
まるで宙に浮いているように、足は重さを感じない。
そしてそのまま飛ぶように、息もつかずに神殿の外へ躍り出た。
するとそこに、ひとり佇む人影があった。
彼女の心に、不意にたまらないほどの懐かしさがこみあげた。
足がひとりでに、人影向かって走り出す。
唇が、まだ見ぬはずのその人の名を勝手に呟き出す。
(ああ、あなたは懐かしいウルフィラ……)
エレオノールはその足の勢いの赴くまま、おぼろな人影に抱きつこうと手をさしのべた。
すると急に、ふっつりと幻影は消え失せた。
光はオーロラのように柔らかに形を変えながら、遙か上方から降り注いでくる。
まわりには列柱のようなものが見える。
それは天を突くほどに巨大で、頂上はかすんで見えないほどだ。
ここはいったいどこだろう。まるで古い時代の神殿のような建物だ―――
エレオノールはその巨大な列柱と列柱の間を、どこへ行くともなく彷徨(さまよ)い歩いていた。
神殿の中に人の姿はなく深閑としていたが、寂しくも恐ろしくもなく、不思議と心の中は満ち足りている。
エレオノールは軽やかな足取りで、柱の間を駆け抜けた。
まるで宙に浮いているように、足は重さを感じない。
そしてそのまま飛ぶように、息もつかずに神殿の外へ躍り出た。
するとそこに、ひとり佇む人影があった。
彼女の心に、不意にたまらないほどの懐かしさがこみあげた。
足がひとりでに、人影向かって走り出す。
唇が、まだ見ぬはずのその人の名を勝手に呟き出す。
(ああ、あなたは懐かしいウルフィラ……)
エレオノールはその足の勢いの赴くまま、おぼろな人影に抱きつこうと手をさしのべた。
すると急に、ふっつりと幻影は消え失せた。
