そして俺は、 玄関にかけてあった 予備の鍵で鍵をかけ、 紗緒の家を出た。 雨が降ってきた。 さっきまで晴れていたのに。 俺は傘を持っていかなかった 紗緒の心配よりも、 テーブルの上に置いてきた紙を見た 紗緒の表情だけを、 頭で想像しては 掻き消していった。