「‥ん?」 「ここ‥彼女の家でしょ‥ うち、帰ろ‥?」 少し落ち着いた藍加が、 俺の袖を軽く引っ張る。 俺が今、人として出来る行動は、 ひとつしかなかった。 「鞄‥ とってくるな。」 まだ不安そうだった藍加の表情に、 少し、微笑みが浮かんだ。 「うん。」