――《次は 柊高校 柊高校》
バスに揺られること、30分。
目の前に現れた大きなグラウンドと校舎に、再び、緊張で胸が高鳴りはじめる。
憧れていた高校の生徒になれたことをやっと実感して、思わずニヤけてしまった。
あたしの通っていた中学からこの高校に入ったのはあたしだけ。
知り合いが居ないことはたしかに不安だったけれど
その不安以上に、高校生活への期待の方が、ずっとずっと大きかったんだ。
「あ、あのっ!」
「え?」
バスを降りて、3歩歩いたところ。
突然かけられた声と捕まれたカバンに、思わず振り向いた。


