彼女と出会ったのは 桜の季節だった。 毎朝、 同じ電車に乗っている彼女は 真っ白な肌に 整った顔立ちで ひときわ目立つ存在だった。 話したことどころか 声も聞いたことがないが 肩まで伸びる栗色の髪が綺麗で 可憐な子だった。 左手の薬指に光るリングが 彼氏か夫の存在を物語っている。 若く見えるが 歳はあまり俺と変わらないだろう。 俺は心の中でひそかに 『電車の君』と呼んでいた。 まるで 真っ白なバラの花みたいな 美しい子だった。