「なんか今日
 ユウ嬉しそうじゃない?」

朝あたしの顔を見るなり
里美はこう言った。



――するどい。



「なんかいーことあった?」



誰かに話したい気もする。

幸せなことや
嬉しいことがあると
人はみんな誰かに
聞いてもらいたくなるものなんだ。



でもツバサのこと
軽々しくは、言いたくない。



「恋の魔法、かもね」

ひとことだけ、そう言った。




「えぇぇぇっ?!
 だれだれだれっ?」

「ないしょ」

「もーっ!
 ユウは秘密主義なんだからぁ」



里美の恋の話
たくさん聞いたことある。

だから内緒、なんて
ちょっとズルイかな?と
思ったけど

でも
大切にしたい。ツバサとのこと。





「大切なことは
 心に閉まっておくの」

「幸せならさぁ
 おすそわけしてもいーじゃん」

「だーめ。もったいないもん」

「ちぇーっ。いいよーだ」





――ツバサは今なにをしてる?

教室の窓から空を見上げた。
今日は昨日とはうってかわって
青い、澄んだ空だ。




どこにいても
空はつながってるんだね。

そう思ったら
離れてる時間さえも
満ち足りてくるから不思議だ。

ツバサといつも
時間を共有してるような。