恋するために生まれた

授業中も
お昼ごはんも
なんとなく一日中ソワソワして
落ち着かなかった。



学校が終わると一目散に
あたしは病院の屋上へ向かった。









――まだ来てない。


あたしは周りを見渡すと
少し落胆して
少しホッとした。



走って来たから
息が切れてる。




座って呼吸を整えた。






あたし、
何してんだろ。


ツバサは
来るなんて言ってないのに。





鞄からペットボトルの緑茶を出し
キャップをはずして
ひとくち飲んだ。



空は今日もキレイ。

あたしは一人
なぜかドキドキしてる。
それは決して
走ってきたから、じゃない。

この気持ちを
なんて言えばいいんだろう。





空を見上げたまま目を閉じると
空があたしに
覆いかぶさってるような気がする。

空に
抱きしめられてるような
そんな気がする。








「おまえ何やってんだよ」


目を開けると
呆れたような顔をしたツバサが
目の前にいた。





「空に抱きしめられてる」

「はぁ?」

「そんな気がするの」




ツバサはあたしの隣に
昨日と同じように
ドカッ、と座った。