恋するために生まれた

「あたし、そろそろ帰ろうかな」


そう言って
あたしはさっさと鞄を持って
立ち上がった。





「あっ!
 …明日も来る?」


ツバサが慌てた感じで
そう聞いた。



「晴れたら来るかな」

「そっか」



――明日もツバサは来るの?

そう聞こうと思ったけど
やめておいた。



「じゃあ」

「じゃあな」




あたしは約束は苦手なのだ。
明日来るってもし言われたら
きっとなんとなく待ってしまう。


待ってて来なかったら
あたしはきっと
少しだけ、傷つく。

だから約束は、しない。



あたしは
振り返らずに家へ帰った。