そして、今に至る。



(誰にも私の気持ちなんかわからない……。死にたいってわけでもないけど、こんな世の中で生きる意味なんてあるのかな……。)


「何をしているんだ?」


悲嘆している梓に、不意に誰かが声を掛けた。

テノール調の低い男性の声だ。



「んっ……?」


声の聞こえた方向を見ると、公民館のある方向から梓を見上げる一人の青年と目が合った。

青みがかった髪に黒い瞳……歳は梓より二つか三つほど上だろうか。



「そう言うあなたこそ……そこで、何してるの?」


「……散歩をしているだけだ。」


「ふうん。家はここから近いの?名前は?」


「……先に自分の質問に答えてくれ。あんたはそこで何をしている?」


呆れたような顔で青年は梓に聞き返す。