「君は黙っててくれ。これは僕達家族の問題だ。」


「家族の問題?血繋がっていないとか、平気で言うくせに。何が家族よ?」


「梓!屁理屈言う前に、謝るべきだろ!」


「親でも無ければ、本当の兄弟でもないんだから柳兄にどうこう言われたくない!!」


そう言い放つと、梓は立ち上がって駆け出し、二階の部屋に立てこもる。



「梓!」


「あ、梓ちゃん!」


柳都と柚枝は慌てて後を追ったが、梓の部屋には内鍵がかかっておりノブを激しく回しても叩いてもビクともしない。



(何よ、柳兄……。私は柳兄を本当の兄だと思っているのに……。なんで、いっつも……。)


「柳兄なんか大嫌い……。」


蚊の鳴くような小さな声で言うと、梓は開け放たれた窓から屋根の上へ足を下ろした……。