クロスロードラヴァーズ




「自分には弟がいる……。今年十五歳になる弟で、雄河という名前だ。」


「聖河……弟が居るんだね。でも、なんで急にそんな話……まさか?」


聖河はどこか遠くを見つめて、僅かに頷く。



「雄河は絵の才能を持っている。六歳の頃から絵を描き始めた彼は、有名な絵画を本物そっくりに模写することができ、風景をそのまま書き写せる。生物を描けば、今にも動き出せそうなほど生き生きした絵を描くことができる。」


「すごいね……。」


「ああ、自慢の弟だ。両親はその才能を喜び、高名な画家に頼んで絵を習わせた。より上手くより正確な絵を描けるように。朝も昼も夜も……時には、睡眠時間まで削らせて。」


「それは……ひどいかも。睡眠時間減らして描かせるなんて、奴隷みたいじゃない。」