「……柚枝が自分の世話をしてくれることには感謝している。だが、好きとか嫌いとかそういう感情は無い。憎まれていることを知ってショックは受けたが……梓に嫌われることよりはまだ耐えられることだ。」
「えっ……?最後、何って……。」
「……い、いや、何でも無い。言葉のあやだ。」
聖河は普段の彼になく、慌てているようだった。
ほんのわずかにだが、顔を赤らめて視線を背ける。
「私に嫌われるより、柚枝に憎まれるほうが耐えられる……?」
「し、しっかり聞こえているではないか……。その……変なことを言ってしまった。忘れてくれ……。」
「……嫌。忘れてあげないから。」
梓はニヤリと底意地の悪い笑みを浮かべる。
「あ、梓……。」
「照れてるの、聖河?意外とかわいい……。」

