「そう……。うちには来なくなったのに、聖河のとこには毎日来てるんだ……。まるで恋人同士だね。良かったね、聖河。」
梓の突き放すような物言いに、聖河が顔をしかめる。
「梓……怒っているのか?」
「お、怒ってない!事実を言ってるだけ!」
「そうか?自分には怒っているように見えるが……。」
「聖河が無神経なこと言うからでしょ!」
八つ当たりしているだけだと、梓自身もわかっていた。
けれど、湧き上がってくる感情をどうしても止めることができない。
「なんで……私の前で柚枝と仲良いみたいなこと言うの?聞いてるとイライラしてくる。」
「そういうつもりで言ったのではないのだが……。」
「じゃあ、何?はっきり言ってよ、聖河!柚枝のこと……好きなの?それとも、私……」
言いかけて、梓は自分が柚枝に嫉妬しているということに気付いた。
それはつまり、聖河に惹かれているという意味だということも。

