一週間後の朝、病室にて。
「来てくれたのか、梓。」
「……久しぶり、聖河。」
梓はすずらんの花束を手に、そこを訪れた。
柚枝の姿は無く、上半身部分だけギャッジアップされたベッドで聖河は本を読んでいる。
「柚枝はまだ来てないの?」
「ああ……今日は夕方にしか来れないと言っていた。」
「ふうん……別にいいけど。」
気のない素振りをしつつ、梓はなぜかホッとしていた。
花束を棚に置き、いそいそと聖河の右脇の丸イスに座る。
「柚枝……本当に毎日来てる?」
「そうだな……時間はマチマチだが、毎日見舞いに来てくれている。フルーツを剥いたり、様々な話を聞かせてくれる。……熱心なものだ。」

