「君の刺した箇所というのは、ほとんど出血しない箇所なんだ。けれど、大量に出血してしまったのは、古傷が開いてしまったせいだ。縫合はしたが、無茶をすればまた開く可能性がある。」
「えっ……古傷って?」
柚枝、梓、柳都の視線が聖河に集まる。
聖河は三人の誰とも目が合わせたくないというようにうつむいていた。
「君自身がよくわかっていると思うけれど……入院中は絶対安静。退院しても、腹部に激しい負荷がかかるような行動は控えるように。……いいね?」
「……はい。」
聖河の返事を聞くと、ドクターはお大事にと一礼し、病室を後にした。
気まずい空気が、病室内に流れる。
数分立って、一番に口を開いたのは聖河だった。
「悪いが……三人共、病室から出て行ってくれ。」
たった一言。
けれど、殺気にも似た冷たい感情が含まれているように感じ、三人は病室を足早に出て行かざるを得なかったのだった。

