「梓……辛かったのだな。このようになるまで、一人で抱え込んで……。」
聖河は父親のような温かい眼差しを向け、梓の後ろ頭に右手でそっと触れる。
梓はヒックとかウックとか嗚咽は漏らし続けていたが、肩の震えは止まり、だいぶ落ち着いてきているようだった。
「梓……付き合うことだけが、想い合った形ではないと自分は思う。付き合えなくても……側にいれなくても……心が通じ合っていれば想い合っていることに変わりはない。」
「うん……。」
「自分には、どうすることが梓にとって最良の方法なのかわからない……。だが、梓が困っている時や悩んでいる時に共に考えて癒やすことぐらいはできる。助けが必要になったら、いつでも自分のところへ来るといい。」
「聖河……。」

