「……すまない。だが、梓が泣いていたから……。自分でも信じられないくらい、自然に腕が動いてしまった。嫌ならば……」
「嫌なわけない……!」
離れようとした聖河に、梓は自らぎゅっと抱きつく。
聖河は面くらったように目をしばたかせていた。
「梓……?」
「嫌なわけない……。私は……聖河が嫌いだから……“付き合えない”って言ったわけじゃない……。その反対で……大好きなんだから……。」
「……。」
聖河は驚きのあまり、返す言葉が見つからず、呆然と梓を見返すことしかできなかった。
フラれたはずの人間に、“大好き”と告白されたのだから無理も無い話だった。
「自分でも……無茶苦茶だって……っく……わかってる……。だけど……頭の中……ごちゃごちゃしてて……混乱……っ……してるのかも……。」

