『昨日もメールで訊いたけど……具合はどう?郁が三日も続けて休むなんて珍しいね。私はもちろん、柚枝も心配してるよ。何があったかわからないけど、私と柚枝はいつでも相談に乗るから。』


送り主のところには、“梓はん”と表示されている。


郁は読み終えるとすぐに返信を打った。



『梓はん……心配かけてすまへんな。少し体調崩してもうただけや。鼻水出るんと、だるい感じあるから風邪やと思う。せやけど、だいぶ良うなった気がするねん。明日はちゃんと学校に行くわ。柚枝はんにもよろしゅう伝えとってや。』


“送信完了しました”という文章が表示されると、郁はケータイを持った手をぐっと伸ばして、顔を布団の中に埋めた。



「郁ー。晩ご飯できたで。熱あるわけやないんやから、早よう降りて来ぃや。」


不意に、階段下から母親が自分を呼ぶ声が聞こえた。


郁は、わかったわ……と弱々しい声で応えると布団から起き上がる。