「柳兄に頼みがあるんだけど。」


「頼み?」


「私……聖河が好き。彼と付き合いたい。」


梓がそう言った途端、柳兄の表情がみるみる内に険しくなった。



「どうして、此処梨なんだ?僕じゃダメなのか、梓!」


「きゃっ!?り、柳兄……?」


柳都にソファに押し倒され、梓は困惑しているように眉を寄せる。

しかし、柳都はそんなことお構いなしに梓をぎゅっと抱きしめた。



「此処梨より……僕の方が梓と付き合いも長い。ずっと大事にしてきたんだ!それなのに、なんであんな奴を好きになるんだ、梓……。」


「何言ってんの、柳兄……?痛いから、離してよ!」


梓は手足をばたつかせてもがくが、柳兄は全く離してくれない。

それどころか、両腕により力を込めてきた。



「痛い……痛いよ、柳兄!やめてってば!」


「好きだ、梓……。おまえのことが異性として好きなんだ!そう……ずっと前から好きだったんだ……。」


「えっ……。」


聞いたことのないほどか細い声で告白する柳都に、梓は言葉を失って動くことができなくなったのだった……。