「確かにあんさんが飲んどる分足したら五本あるけど……他人の飲みかけを飲ますわけにはいかんやろ。」
「自動販売機まで戻らなくても、俺様に一つ解決策があるぜ?……ちょっと耳貸してみろ。」
ニヤリと笑って右手で手招きする火槌の態度を訝しみつつも、郁は素直に火槌の方に近づく。
次の瞬間。
「……っう!?」
郁は声にならない叫び声を上げる。
火槌が自分の飲みかけの缶ジュースを、半分ほど傾けて郁の口に押し当てたからだ。
いきなりのことに抵抗できず、郁は思わずグビリと一口飲んでしまった。
「うっ……げほげほっ!なっ……けほっ……にすんねん!?ムセてもうたやろ!!」
「これで、こいつは俺様の飲みかけで郁の飲みかけでもある。俺様はもう要らねえから、おまえにやるぜ。」

