クロスロードラヴァーズ



「はあ?俺様が謝る理由なんかどこにも無えだろ。反射神経とか勘がいい奴だったら落とさねえだろうしよ。ぼうっとしているお前が悪ぃんだぜ?……おっ、変な名前だけどなかなかいける味だな。」


「……って、何勝手に他人のジュース飲んでんねん!ああ、もう!また買い直しに行かなやん……。」


取り上げた缶ジュースをゴクゴクと喉を鳴らして飲む火槌に背を向け、郁はとぼとぼと歩き出す。



「おいっ、どこ行きやがんだよ、郁?」


「自動販売機の方や!あんさんが飲んだから一本減ってもうた分を買い直しに行かなやん!」


「誰の分を買い直すんだよ?数なら足りてんじゃねえか。」


意味のわからないことを言う火槌に、郁は立ち止まって振り返りつつ小首を傾げる。