「……自分を生んだ母親までも苦しめて、何のために生きているんだとそう自問自答した時。頭で考えるより先に体が動いていた。居間の戸棚の引き出しにしまってあった叔父の薬を取り出して、自分は……それを飲んだ。何という薬かはわからない。飲んですぐは何ともなかった。しかし、その数分後に来た雄河と話している内に、胸が苦しくなって……気が付けば、病院のベッドに横たわっていた。」
「聖河って……本当、バカ……じゃないの……?頭……おかしいよ……って、二階から……飛び降りようとした……私が言えたこと……じゃないか……。」
ふと見ると、梓は瞳にいっぱい涙を浮かべて、それでも床には落としまいと必死に堪えていた。
聖河は僅かに目を見開く。
「梓……。」
「もう、こんなことしないでよ!お願いだから……。」
消え入りそうな声。
えっくえっくと嗚咽の込み上げる声が、聖河の耳にしっかりと聞こえてきた。

