クロスロードラヴァーズ




「思い立ったのは、今日……雄河に会う十分ほど前のことだ。母親から電話があったんだ。『雄河が居なくなったの!あなたのところに来てない?』と。来ていないと答えると、母親は急にすすり泣きを始めて、こう言ったんだ。『ごめんね、聖河……。本当に……ごめんなさい。』と。」


「ごめんなさいって……今更すぎるじゃないの!それに、聖河の体調の心配もせずに、いきなり“雄河来てない?”なんて……身勝手すぎる。聖河……そんな母親のことを許したの?」


「ああ、許した。許して、雄河が来たら必ず連絡すると約束した。……電話を切るまでは、自分は正気だった。だが、切った瞬間に言いようのない不安感と自己嫌悪に陥ったんだ。」


淡々と話していく聖河の顔が、徐々に苦渋に満ちていく。