「ゆ、柚枝ってば、余計な気を使って……。ごめん、聖河。私も柚枝達に付いてく……」
「……梓はここに居てくれ。」
柚枝達の後を追おうとする梓を、聖河は彼女の右手を掴んで押し止めた。
梓はビクッと肩を震わせて、聖河の方を振り返る。
「せ、聖河……?」
「我がままな頼みだが……今だけ、梓に側に居て欲しいんだ。」
聖河の黒い瞳にじっと見上げられ、梓の鼓動がトクンと脈打つ。
「わ、わかった。だ、だけど、立ったままだときついから、そこの丸イス使っていい……?」
聖河が頷いたのを見て、梓は丸イスに腰掛ける。
イスに座ると、先ほどとは反対に座高の高い聖河を梓が見上げるような形になった。

