「兄さん……全てが嘘っで……わげじゃないんだ……。あの日の記憶……兄ざんを刺した日の記憶は……本当に思い出ぜないんだよ……。」
「……そんな記憶は思い出す必要は無い。雄河……おまえが自分に真実を明かしてくれただけで、自分は……っ……うっ……」
急に、苦しそうに左胸を掴んだかと思うと、聖河はそのまま横向にドッと倒れた。
額からは脂汗が滲み、顔面蒼白になっている。
「兄さん!?兄さん、どうしたの!?しっかりしてよ、兄さーん!!」
雄河は慌てて、聖河の体を揺さぶる。
「雄……河……。梓に……伝言……を……」
「兄さ……かり……救急……から……」
雄河の声が次第に遠のき、聖河の意識は途絶えた……。

