「……思わねえけど、確認のために訊いたんだよ。“兄弟二人で協力して継げ”っていう親父の遺言を無視する気かよ?」
「そんな遺言残してやがったのかよ、親父の奴……。悪ぃけど、俺様はその時全く関係ねえこと考えてたら、聞いてなかったぜ。」
ベッドから体を起こそうともせず、涼しい顔でうそぶく火槌の胸ぐらを、颯真がグッと掴む。
「昔っから適当すぎんだよ、兄貴は!!一人でこんな大会社を運営していけるわけないだろ!俺にも手伝わせてくれよ!」
「……学校はどうするんだよ?高三っつったら、受験生でもある一番大事な時期だろ。」
「うっ、学校は……た、退学すりゃいいだけだ。俺、なりてえものとか無えし、学校通うの面倒くせえし……うあっ!?」

