「ううっ……気分悪い……。頭くらくらする……。」
「自業自得だ。とにかく、どこか座れる所を探そう。」
辺りをキョロキョロ見回して、少し離れた場所にベンチを見つけた聖河は、梓を伴ってベンチまで歩く。
そして、自分は立ったままで、そろりそろりと梓を腰掛けさせた。
梓の顔色は変わらず優れなかった。
「少し待っていろ、梓。」
そう言い残して、聖河はどこへともなく駆けていく。
その場に一人残された梓は手を口から離し、面目なげに俯いていた。
(はあ……最悪。調子に乗って、一番迷惑かけたくない聖河に迷惑かけるなんて……。どうしようもない女だって思われてるかも……)
「梓、レモンジュースだ。」
不意に、聖河の声が梓の思考を遮る。
顔を上げた梓の目の前には、紙コップを右手に持った聖河の姿があった。

