「はあ……呆れて物も言えない。」
「な、何よ……嘆いてないで……どうにか……ううっ。」
「とりあえず、回転を止めるべきだ。」
聖河はピシリと冷静な口調で言うと、ハンドルを両手で持ち回転スピードを緩めた。
景色の回転が穏やかになり、体の揺れもほとんど無くなる。
「これでよし。……大丈夫か、梓?」
「大丈夫じゃ……ない……。降りたい……。」
口に当てた手はどかさないまま、弱々しく言う梓。
彼女の希望に沿うかのように、コーヒーカップの運転が終了した。
聖河は左腕を梓の背中に回し、右腕で彼女の体を支えながらコーヒーカップを降りて歩き出す。

