「梓!」
「梓ちゃん!」
柳都と柚枝の目に入ってきたのは、夏の眩い日差しの下で手を繋いで立つ二人の男女。
二人の予想した通り、女性の方は梓その人だったが、男性には面識が無い。
「誰かな……その男は?」
柳都は、男性を横目で睨みながら聞いた。
柚枝は警戒しているのか、柳都の後ろに隠れ梓と男性を交互に見つめている。
「此処梨 聖河。柳兄と違って、理解してくれる優しい人。」
聖河というらしい男性は、柳都の鋭い視線と柚枝の警戒している目つきを物ともせず、右手を胸に当てて深々と一礼。
青みがかった髪がさらっと下に流れた。

