「……勝手に決めつけないでよね。なんで、柳兄なのよ?」
「彼は梓のことを誰よりも大切に思っているからだ。人は誰でも大切に思ってくれる人間の側に居るのが幸せだろ。」
「それは……兄妹だから当たり前じゃない。でも、兄妹じゃ恋人になれないし、柳兄だって私のことを妹としか思ってない。」
何言ってんだかと言いたげにフウと息を吐く梓。
「妹以上に思ってほしいのか?今の梓の言葉からはそう読み取れる。」
「……ケンカ売ってるの、聖河?」
梓に睨みつけられ、失言だったと聖河が詫びる。
「何が言いたいわけ?私が柳兄を好きで、柳兄も私が好き。だから、恋人になれって?……そう思ってるなら、間違ってる。私が好きなのは……」
不意に梓の瞳が潤み、視線が聖河の顔に移動する。
聖河は目を逸らさず、梓をじっと見返した。

