「梓……時神と郁はあれでいてなかなか良いカップルなのかもしれない。自分達が邪魔するのは、野暮というものだ。」
「はっ?何、らしくもないこと言ってんの、聖河?」
梓に怪訝そうに眉を潜められたが、気にすることなく聖河は言葉を続ける。
「デートではない……自分はその言葉を撤回する。」
「えっ……せ、聖河!?ちょっと、どこに行くの!?」
その質問に返答せず、聖河は梓の右手を握って走り出した。
「……やる時はやんじゃねえか、相棒。」
遠くなっていく二人を、火槌は左手を地面と平行に額に当て物見遊山気分で眺める。
「オレの話、聞いてへんやろ、火槌はん!」
「聞いてねえけど、それがどうした?」
「なっ……はあ。怒るのがアホらしくなってきたわ……。」
溜まり溜まった文句を聞き流されて、ガクリと肩を落とす郁だった……。

