クロスロードラヴァーズ




「い、嫌っちゅうわけやないんやけど……」


「だったら、いいじゃねえか。どうせ暇だったんだろ?」


「まあ、暇やったんやけど……って、どうせって何やねん!あんさんよりは忙しいわ!」


声を抑えることを忘れ、ギャーギャー口ゲンカを始めた二人を見て



「仲良さそうだね、あの二人。私と聖河が心配するようなことは、何も無いんじゃないの?」


心配して損したと言わんばかりに、フウウと深いため息をつく梓。

そんな彼女の方にチラチラ視線を送りながら、聖河はつい数分前の火槌の言葉を思い出していた。



『いいか、相棒?これは相棒のためでもあって、俺様のためのデートでもある。セッティングをしてやったのは俺様なんだから、演出するのは相棒の役目だぜ?』


「演出するのは、自分……か。」


ぽつりと呟いた聖河の言葉に、何か言ったと梓が問いかける。