「……どういうつもりなんや、火槌はん?」
ゴウウウとジェットコースターが駆け抜けるレールの下で、郁が声を潜めて火槌に訊く。
彼女達の後ろを、梓と聖河が付かず離れずの距離で付いて来ていた。
「何がだよ?」
火槌はイタズラを企む子供のような笑みを浮かべて、郁に聞き返す。
「今の状況のことや。二人の仲を上手くいかせたいんやったら、オレとあんさんはこっそり尾行した方がよかったんやないかと思うんやけど……。」
「こっそり尾行?俺様はそんな地味でせこい真似したくねえよ。」
「そやからって、オレとあんさんまでデ、デートやなんて……。」
「……嫌なのか?」
不意に真剣な眼差しを向けられ、郁の心臓がトクンと脈打つ。

