クロスロードラヴァーズ




「無駄だ、梓。時神の前では、自分達は赤子同然の力しか無い。」


「よくわかってんじゃねえか、相棒。そういうわけだから、つべこべ言わず俺様と郁に付いて来な。」


口出させる余裕も与えず、火槌は郁の手を引いて駅の方へ歩き出す。



「わっ!?もうちょっとゆっくり歩いてや、火槌はん!」


郁は抵抗もせず、火槌のなすがままに引かれていく。



「ちょっとまだ話は……」


「梓、自分達も時神を追うぞ。帰るという選択肢もあるが、郁の身が心配だ。」


「聖河……わかった。でも、その前に一つ。あの俺様男はダブルデートとか言ってたけど、わ、私は郁を助けるために付いて行くだけだから。デ、デートとかそんなんじゃないからね。か、勘違いしないでよ?」


どぎまぎしながら言う梓に、



「……わかっているさ、梓。これは、時神の陰謀を阻止するためで、デートなどというものではない。」


聖河は、微笑みながら返したのだった……。