「客か……?この忙しい時に……。」 「もしかして……梓ちゃん!?」 「梓がわざわざチャイムを押して入ってくるわけ……」 「うち……行ってみます!」 柳都の言葉を最後まで聞かず、柚枝は全速力で二十段きっちりの階段を駆け下りる。 最後の一段で躓いて前のめりに倒れそうになったが、後を追ってきた柳都が後ろから支え柚枝はケガを免れた。 「柚枝……慌てすぎだよ。」 「あっ……ごめんなさい、柳都兄さん。」 申し訳なさそうに頭を下げる柚枝に、慌てるのはわかるけどねと返し、柳都は玄関のドアを開けた。