クロスロードラヴァーズ




「ほう、かけ声はいいじゃねえ。」


火槌は上半身を大きく仰け反らせ、バックステップ。



「わっ!?」


標的を失った郁の体は、前のめりの姿勢で地面に倒れていく。



(倒れる……!?わかっとるんに、足がもつれて動かへん……。)


体が地面に叩きつけられるかと思われたその時。



「たくっ……体は女なのに無茶すんじゃねえよ、郁。」


「……っ!?」


ギリギリのタイミングで、火槌の左腕が郁の上半身を支えた。



「よっ、と。」


火槌はそのまま腕を上に振り上げ、郁の体を立たせる。

郁は、驚きと困惑のあまり、目を見開いて呆然としていた。



「おい、どうした?魂飛んだか?」


「……。」