「……っ!あ、赤くないわ!!あんさん、自意識過剰すぎるんやない!?」
「照れなくてもいいだろ、郁。まあ、照れた顔は可愛いけどな。」
「か、からかうんも大概にしいや!もう、あんさんの話には付きおうてられへん!!」
郁は顔を伏せて火槌に近づくと、彼の手から乱暴にメモ帳を取り上げる。
それから、
「あっ……おいっ!まだ説明してねえだろ!」
「要らんわ、そんなもん!!文章から自分で読み取ったるわ!!」
呆気に取られる火槌を残し、自宅方向へ闊歩していく。
遠ざかっていく郁の背中を眺めながら
(脈アリ、だな。)
火槌は不適にニヤリと笑って、地面に落ちていた熊のストラップ付きのケータイを拾い上げたのだった……。

