「ありがとう、聖河。それで……これから、どうするの?」
「やるべきことは一つだろ?兄に謝って仲直りしろ。」
淡々とした口調で言うと、聖河は梓の手を引っ張って歩き出す。
だけど……と、彼の意に反し梓は立ち止まった。
「……なんだ?」
「許してくれるかな……柳兄。顔を合わせたらまたケンカしそう……。」
「先のことを悩んでいても何も解決しない。怖がるな……自分も共に謝ってやる。」
聖河はそう言いながら、ほんの少しだけ口元を綻ばせる。
その笑顔に、梓は不安が一瞬で掻き消されるのを感じたのだった……。
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