しかし、それは梓が全く予期していない言葉だった。



「とりあえず……そこから飛び降りろ。」


「えっ?」


梓は面食らったように、左右非対称な表情を見せた。



「飛び降りろって……私の命がどうなろうが関係ないって意味?」


「……言い方が悪かったか。自分が受け止めてやるから、自分のとこへ飛び降りてこいって意味だ。話は……それからだ。」


聖河の補足に、なるほどと相槌を打つと、



「やっ!」


威勢の良いかけ声と共に、梓は屋根の端から飛び降りる。

風が彼女の髪を上方向へと巻き上げた。



「……っ!」


下で待機していた聖河が梓の体を受け止める。



(温かい……。)


聖河の体の温もりを感じて、梓はわずかに頬を染めた。