「ふふっ、真面目すぎるね、聖河って。ねえ、暇があるなら私の話を聞いてくれる?」


「……話したければ勝手に話せ。」


少なくとも、聖河は話を無視する気ではないようだ。

完全に立ち止まり、梓の顔をじっと見ている。



「ありがと。あなたにも聞こえてるよね?ドアを叩くバンバンって音が。私さ、兄貴とケンカしちゃって……この部屋に立て籠もってるってわけ。」


「………。」


「ちゃんと聞いてる?……ま、いいや。兄貴は……柳兄って呼んでるんだけど、私の親代わりでもあるの。仲良い分、ケンカもよくするし、うざったいなとも思う。でも……本当は、仲違いしたままなんて嫌。どうしたらいいのかな?」


「………。」


始終無言だった聖河だが、梓がハアとため息をついたのを見て口を開く。